女性の鼠径ヘルニアについて
女性の鼠径ヘルニアになりやすい方とは
女性の鼠径ヘルニアになりやすい方は、以下の通りです。
- 高齢の方
- 痩せ体型
- 立ち仕事・お腹に力が入る仕事
- 激しい運動を行っている
- 喘息・慢性肺疾患がある
- 便秘症
- 出産経験がある人
妊娠中の手術について
妊娠中の女性が鼠径ヘルニアになった場合、基本的に出産してから手術を行います。鼠径ヘルニアの症状が重度の場合は、お腹が大きくなる前の妊娠4~6ヶ月以内を目安として手術を行うことがあります。その場合は子宮収縮の予防しながら手術を進めていきます。お腹が大きくなって手術が困難になる前に対応します。
妊娠中は使用できる薬剤が限られ、嵌頓するリスクが高いため、可能な限り出産後に手術を検討していきます。
鼠径ヘルニアと間違われやすい疾患とは
1子宮内膜症
子宮内膜症も鼠径部に痛みが伴って発見されることが多い疾患です。子宮内膜症は一般的に骨盤内に生じますが、鼠径部に発症することもあります。鼠径ヘルニアを併発している場合もあるため、子宮内膜症と同時に治療するケースもあります。妊娠可能年齢の女性に多く見られるとされ、また手術を行って初めて診断が付く場合もあります。
2ヌック管水腫
ヌック管とは、女性の胎生期にある鼠径部の構造を言い、出生とともに消失しますが、稀に残ってしまう場合があります。ヌック管が嚢腫や水腫とよばれる袋になって、液体が溜まるようになります。鼠径ヘルニアに似た疾患で、見た目も鼠径ヘルニアとほとんど変わりありません。成人の20~40代の女性に多く見られ、大きくなると膨らむことで気付きます。ヌック管水腫と診断されても、実際は鼠径ヘルニアが嚢腫化したケースもあります。
3子宮円索静脈瘤
妊娠に伴って鼠径ヘルニアと同じように鼠径部が膨らんだり、しこりが生じたりする状態を子宮円索静脈瘤といいます。それぞれ治療方法が異なるため、超音波検査による正確な診断が必要です。出産を終えると症状が軽快するケースが多いため、経過観察を行っていきます。また、鼠径ヘルニアを併発したり、血栓が生じた場合は治療を行う必要があります。