2020.04.08
緊急事態宣言が発表されました。
4月7日、政府より緊急事態宣言が発表されました。みなさん、どう思いましたか?
2月3日にダイアモンドプリンセス号が横浜港に入港し、新型コロナウイルス陽性患者が出ました。3月に入り、感染者数はなだらかな増加を認めましたが、爆発的な増加はなく、3月連休中に感染者が増え、現在爆発的増加の兆しが見える状態での発表です。新型コロナウイルスの潜伏期間はまだ不明ですが、平均5−7日という説や2週間ほどという報告もありますがはっきりするのはもう少し状況が落ち着いてからかもしれません。現在全世界で研究されているものと思われます。3月連休より2週間が経って、首都圏では感染者数の爆発的増加は見られませんが、病院関係者からの情報によると、日に日にコロナ入院患者(現在は原則軽症者も入院となっております)は珍しくないということです。
ここからは、神奈川の藤沢地域の1クリニックとしての私見を申し上げます。
いまのところ当クリニックでのコロナ感染患者は出ておりません。ご存じのように唯一の検査であるPCR検査はまだ「帰国者接触者相談窓口」に連絡してから、検査できる医療機関を指示され検査を受けるといった手順は変わりません。なぜなら、検査時に感染から守るN95マスク、シールド、ガウンがないので医師看護師が感染する可能性があり、よって当院の様に多くの診療所での確定診断はできません。ここのところがわかりにくいので困っております!
風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている方、または強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方はまず相談窓口に連絡します。そこで相談窓口のかたが「流行していた国地域に訪問滞在していた人またはコロナ感染患者と濃厚接触した」「医師が感染を強く疑う」場合、検査できる医療機関に連絡してはじめて受診できます。はっきり言ってわかりにくく、医療者側からはごまかしているとしか言いようがありません。一例をあげると、
「37台の発熱が1週間ぐらい続いて咳、だるさがあります」という患者さんからの電話を頂きます。となるとクリニックからは「帰国者接触者相談外来に連絡してください」と伝えます。そうすると「もう連絡したのですが、かかりつけもしくは近所のクリニックに受診してくださいといわれました」と返されます。なぜならコロナ感染者との濃厚接触がないからです。濃厚接触がなければ、発熱が続こうが息が苦しいだろうが、PCR検査機関に紹介してくれません。当院でも防護服がない中で、感染が完全に否定できない患者に対しては、時間を指定し一般患者と接しないように別ブースで診察するようにしております。そこでやはり肺炎症状がCTやレントゲンで確認とれて「医師が疑う」ような患者を再度接触者相談窓口に連絡しても検査機関に紹介してもらえません。結局軽症者であれば対症療法のお薬を処方し、自宅待機をしてもらいます。
これが事実です。要するに接触者以外は肺炎があろうがPCR検査はしないと言うことです。文句ばかり言っても仕方が無いのでなぜなのだろうと考えました。
日本のPCR検査は他諸国に比べ、桁違いに少ないことは指摘され続けております。これはなぜかというと、諸外国はすでに感染者が蔓延しておりクラスターといって感染源となる患者さんとの接触がなくても感染者が増え続けているのでしらみつぶしに検査しなければいけないのですが、日本はあくまでクラスターをチェックして感染経路を徹底的に検査する方針のようです。よって接触者以外は検査しないのです。日本でのPCR検査の件数は9万まで可能と安倍首相は会見で述べておりましたが、実際は4月4日まで1日平均1583件にとどまっております。そうはいっても日本もそのクラスター探しでは限界があり、最近感染経路の不明な患者数が報道されてますし、PCR検査は増加せざるを得ない状態です。諸外国のように方針を変えなければ感染が増大する可能性が高いからです。ただ、患者さんは自分がどうなのか、家族に移すのではないか、不安で不安で誰かに相談したいのです。相談センターに連絡しても結局は医師が対応するわけでも無く機械的に近くの医療機関に受診する要指示をうけるしかないのです。
我が国日本では、感染爆発の兆しは見えるものの、まだそこに至ってない状況です。緊急事態宣言が出されても人々は冷静に行動していると思います。日本にいる人々は良識があり、道徳的で慈悲深い人たちだと思います。今後、さらに感染が拡がり、混乱が生じるかもしれませんが、なんとか耐えきると希望をもっております。私も医師になって最大の危機に直面していると思っております。なんとか市民の皆様と一緒に戦っていこうと限りある医療資源を最大限に活用していきます。院内感染を防ぐためにも手術や検査、一般外来を受ける患者様との接触をなくすよう待合や診察室を別に設け、また頻回の換気や消毒も行い、診察時間もわけております。平常時よりも面倒をおかけしますが一緒に戦っていきましょう!
写真は院内に置いてあるお子さん向けで僕の息子も愛読していた「残念ないきもの」という本です。そこには「ピンチは進化のチャンス」というページがあり、ちょっと考えさせられました。なんとかこのピンチ、将来のチャンスにつなげればといいなと切に思います。